アンケート

物流業界のグリーン調達、65%が荷主からの協力要請「経験なし」──対応「できない」も4割超【自社調査】

結論(2026年9月時点):2026年2月に実施した自社調査(配送・運送業の部長職以上の人573名対象)によると、荷主企業からグリーン調達への協力を求められた経験が「ない」と回答した人は64.9%(n=573)にのぼり、多くの物流事業者にとって荷主からのグリーン調達要請はまだ日常的な出来事になっていない実態がうかがえます。一方、協力を求められた際に対応できると感じるか尋ねたところ、「ある程度対応できる」(47.8%)が最多だったものの、「あまり対応できない」(29.9%)と「全く対応できない」(12.2%)を合わせた42.1%が対応に自信を持てていません。対応が難しい理由の1位は「導入コストが捻出できない」(47.7%)、対策を進めるための前提条件の1位は「輸配送費への価格転嫁の容認」(53.1%)という結果でした。

本記事では調査結果の詳細と、そこから見える物流業界のグリーン調達対応の実態を整理します(本調査は自己申告に基づくアンケートです)。

執筆:株式会社CUBE-LINX(公開日:2026年9月11日)

1. 調査の背景:グリーン調達の重要性の高まりと、輸配送現場の実態

国際的な脱炭素の潮流を受け、国内でも環境省のガイドラインや各社のCSR活動を通じて、サプライチェーン全体で環境負荷の低い調達を求める「グリーン調達」の重要性が高まっています。ここでいうグリーン調達とは、荷主企業が輸配送を委託する際に、低公害車・EVの活用や燃費改善など環境負荷の低い運行を運送事業者に求める動きを指します。自動車分野でも、乗用車は2035年までに新車販売で電動車100%を目指す目標が示されている一方、商用車は小型車で2030年までに電動車20〜30%・2040年までに電動車・脱炭素燃料車100%という目標が示され、大型車については2030年までに普及目標そのものを設定する方針となるなど、車両区分によって目標の具体度が異なりながらも脱炭素に向けたロードマップが進んでいます(詳細は経済産業省「グリーン成長戦略」自動車・蓄電池産業のページをご確認ください)。

しかし、広範に及ぶグリーン調達の中で、実際の輸配送の現場においてこうした指針がどの程度浸透しているのか、その実態は不透明でした。そこで、商用EV・充電インフラの導入支援を専門に行う株式会社CUBE-LINXは、配送・運送業の部長職以上の人を対象に「物流業界のグリーン調達に関する実態調査」を実施しました(プレスリリース全文)。

項目 内容
調査期間 2026年2月6日〜2月10日
調査方法 インターネット調査
調査対象 配送・運送業の部長職以上の人(20代〜60代の男女)
調査人数 573名
モニター提供元 RCリサーチデータ(調査会社)

2. 荷主企業からのグリーン調達要請:65%が「経験なし」

荷主企業からグリーン調達への協力を求められたことはあるかを尋ねたところ、次の結果となりました。

回答 割合
ある 35.1%
ない 64.9%
荷主企業からグリーン調達への協力を求められた経験(n=573)。ある35.1%、ない64.9%
出典:株式会社CUBE-LINX「物流業界のグリーン調達に関する実態調査」(2026年2月25日発表)

「ない」と回答した人が64.9%と大多数を占め、配送・運送業の部長職以上の人の約65%が、荷主企業からグリーン調達への協力を求められた経験がないことがわかりました。グリーン調達という言葉自体は広がりつつあるものの、実際に荷主から具体的な協力を求められる場面は、輸配送の現場ではまだ限定的である可能性がうかがえます。まだ要請を受けていない事業者にとっても、後述する対応コストや価格転嫁の論点を早めに把握しておくことは、要請が来た際の初動の速さにつながると考えられます。

3. 協力を求められた際の対応力:4割以上が「対応できない」と回答

荷主企業からグリーン調達への協力を求められた際、対応できると感じるかを尋ねたところ、回答は以下の通りです。

回答 割合
十分に対応できる 10.1%
ある程度対応できる 47.8%
あまり対応できない 29.9%
全く対応できない 12.2%
荷主企業からのグリーン調達協力要請への対応力(n=573)。十分に対応できる10.1%、ある程度対応できる47.8%、あまり対応できない29.9%、全く対応できない12.2%
出典:株式会社CUBE-LINX「物流業界のグリーン調達に関する実態調査」(2026年2月25日発表)

「ある程度対応できる」が47.8%で最多の回答となった一方、「あまり対応できない」と「全く対応できない」を合わせると42.1%に達し、配送・運送業の部長職以上の人の4割以上が、荷主企業からグリーン調達への協力を求められた際、程度の差こそあれ対応できないと感じていることがわかりました。「十分に対応できる」はわずか10.1%にとどまっています。

4. 対応できると感じる理由:「荷主のコスト理解」「事業機会としての捉え方」が上位

対応できると感じる人(n=332)を対象に、その理由を尋ねたところ(複数回答可)、回答は以下の通りです。

順位 回答 割合
1位 荷主企業がコスト負担や価格転嫁に理解を示しているため 42.2%
2位 環境対応を新たな事業機会や競争優位性と捉えているため 28.5%
3位(同率) 自社の経営基盤に投資の余力があるため 21.3%
3位(同率) 社内に専門知識を持つ担当者や協力会社がいるため 21.3%
5位 補助金などの外部資金を活用できる見込みがあるため 19.8%
6位 既に商用EVや充電設備の導入計画があるため 18.9%
7位 既に小規模なテスト導入などで運用のノウハウがあるため 15.0%
グリーン調達協力要請に対応できると感じる理由(n=332、複数回答)。荷主企業がコスト負担や価格転嫁に理解を示している42.2%、環境対応を事業機会や競争優位性と捉えている28.5%、経営基盤に投資の余力がある21.3%、専門知識を持つ担当者や協力会社がいる21.3%、補助金などの外部資金を活用できる見込み19.8%
出典:株式会社CUBE-LINX「物流業界のグリーン調達に関する実態調査」(2026年2月25日発表、複数回答のため合計は100%を超えます)

最も多かったのは「荷主企業がコスト負担や価格転嫁に理解を示しているため」で42.2%、次いで「環境対応を新たな事業機会や競争優位性と捉えているため」が28.5%でした。単に社内の準備が整っているというよりも、荷主側との関係性やコスト面での理解が、対応への自信を支える大きな要因になっていることがうかがえます。

4-1. 対応への自信と実施状況のギャップ

対応できると感じる人(n=332)を対象に、自社が荷主企業のグリーン調達に値する輸配送における環境対策を実際に行っているかを尋ねたところ、「はい」が66.3%、「いいえ」が33.7%という結果になりました。対応できると感じる人の約3人に1人は、実際にはまだ具体的な環境対策を行っていないと回答しており、「対応できる自信」と「実際の対策状況」には一定のギャップがあることがわかります。早期の情報収集や計画的な準備が、このギャップを埋める鍵になると考えられます。

5. 対応が困難な理由:最多は「導入コストが捻出できない」

対応できないと感じる人(n=241)を対象に、その理由を尋ねたところ(複数回答可)、回答は以下の通りです。

順位 回答 割合
1位 導入コストが捻出できない 47.7%
2位 専門知識を持つ担当者がいない 38.6%
3位 輸送費への価格転嫁が認められない 37.8%
4位 EV充電場所の確保が難しい 30.7%
5位 車両の稼働効率が落ちる 26.1%
6位 補助金の手続きが複雑すぎる 21.6%
その他 3.7%
グリーン調達協力要請への対応が困難な理由(n=241、複数回答)。導入コストが捻出できない47.7%、専門知識を持つ担当者がいない38.6%、輸送費への価格転嫁が認められない37.8%、EV充電場所の確保が難しい30.7%、車両の稼働効率が落ちる26.1%、補助金の手続きが複雑すぎる21.6%
出典:株式会社CUBE-LINX「物流業界のグリーン調達に関する実態調査」(2026年2月25日発表、複数回答のため合計は100%を超えます)

最多は「導入コストが捻出できない」で47.7%、僅差で「専門知識を持つ担当者がいない」38.6%、「輸送費への価格転嫁が認められない」37.8%と続きました。前章の「対応できる理由」でも「荷主企業がコスト負担や価格転嫁に理解を示しているため」が1位だったことと考え合わせると、コスト負担・価格転嫁への理解が得られるかどうかが、対応できる・できないを分ける大きな分岐点になっていることがわかります。

6. 環境対策を進める前提条件:「価格転嫁の容認」が過半数

対応できないと感じる人(n=241)を対象に、輸配送における環境対策を進めるにあたって前提として必要だと考える条件を尋ねたところ、回答は次の通りです。

順位 回答 割合
1位 輸配送費への価格転嫁の容認 53.1%
2位 将来的なコスト削減の見通し 39.0%
3位 十分な補助金の受領 38.2%
4位 社内の専門人材の確保 30.7%
その他 1.7%
わからない 14.9%
輸配送における環境対策を進める前提条件(n=241、複数回答)。輸配送費への価格転嫁の容認53.1%、将来的なコスト削減の見通し39.0%、十分な補助金の受領38.2%、社内の専門人材の確保30.7%、わからない14.9%
出典:株式会社CUBE-LINX「物流業界のグリーン調達に関する実態調査」(2026年2月25日発表、複数回答のため合計は100%を超えます)

過半数(53.1%)が「輸配送費への価格転嫁の容認」を前提条件として挙げており、対応困難の最大理由である「導入コストが捻出できない」(47.7%)とあわせて見ると、輸配送における環境対策は、運送事業者単独の努力だけでなく、荷主企業とのコスト負担・価格転嫁に関する合意形成が欠かせないことがうかがえます。

7. よくある質問

Q. 荷主企業からグリーン調達への協力を求められたら、どう対応すればよいですか?

A. 今回の調査では、対応できると感じる人の理由の1位が「荷主企業がコスト負担や価格転嫁に理解を示しているため」(42.2%)でした。今回の調査結果を踏まえると、まずは自社の現状の環境対策を棚卸しし、次に荷主企業とコスト負担・価格転嫁について話し合い、双方が納得できる条件を整理することが対応の第一歩になると考えられます。あわせて活用できる補助金の有無も確認しておくとよいでしょう。

Q. グリーン調達に対応するために、具体的にどのくらいの費用がかかりますか?

A. 本調査は費用の増減や具体的な金額を尋ねたものではなく、対応への自信や課題感を尋ねたアンケートです。導入コストは車両台数や対策の内容(低燃費車導入、EV導入、運行管理システム導入など)によって大きく異なります。低燃費車・EV導入には国や自治体の補助金を活用できる場合があるため、具体的な費用感は補助金情報とあわせて専門家にご相談いただくことをおすすめします。

Q. 商用EVの導入はグリーン調達対応に有効ですか?

A. 今回の調査では、対応できると感じる理由として「既に商用EVや充電設備の導入計画があるため」を挙げた人が18.9%(n=332)存在しました。一方で、対応が困難な理由として「EV充電場所の確保が難しい」を挙げた人も30.7%(n=241)おり、商用EV導入は選択肢の一つですが、充電設備の確保が新たな課題になり得る点に留意が必要です。

8. まとめ

  • 配送・運送業の部長職以上の人の64.9%(n=573)が、荷主企業からグリーン調達への協力を求められた経験がない
  • 協力を求められた際に「対応できない」と感じる人は42.1%で、「導入コストが捻出できない」(47.7%)が最大の理由
  • 対応できると感じる人の理由は「荷主企業のコスト負担・価格転嫁への理解」(42.2%)が最多
  • 環境対策を進める前提条件としては「輸配送費への価格転嫁の容認」(53.1%)が過半数を占める

導入コストの負担や充電設備の確保といった課題は、補助金の活用や計画的な導入によって初期費用の負担を軽減できる場合がありますが、効果は事業者の状況により異なり、対応コストそのものの解消を保証するものではありません。CUBE-LINXの「商用EV・充電器導入支援サービス」は、補助金申請のサポートから導入計画の策定、運用分析までをワンストップでご支援しています(本調査自体は導入後の費用対効果を検証したものではありません)。活用できる補助金についてはEV導入補助金の解説記事もご参照ください。商用EV・充電インフラ導入のご相談はこちら

関連する調査記事として、商用車の運用コストに関する実態調査の記事もあわせてご覧ください。

関連記事

CONTACT

資料請求・
商用EV導入支援

EV導入に向けたお役立ち情報を
掲載しています。

導入事例はこちら

実際の導入事例を写真とともにご紹介!