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燃料費高騰、運賃転嫁できているのはわずか1割──運送会社経営者の9割が事業継続に危機感【自社調査】

結論: 電動車・充電インフラの導入コンサルティングや稼働管理サービスを手がける株式会社CUBE-LINX(東京都日野市)が2026年4月23日に発表した自社調査(プレスリリース)によると、運送会社の経営者272名のうち、90.4%が「中東情勢の悪化に伴う燃料費の増加分を、運賃に十分に転嫁できていない」と回答しました。また、87.5%が「このまま燃料費の高騰や価格転嫁の難しさが続いた場合、今後3年間の事業継続にリスクを感じている」と回答しています。価格転嫁に何らかの取り組みを検討・実施している経営者を対象に最大の障壁を尋ねると「荷主の理解不足や拒絶」(38.2%)が最多で、価格転嫁以外の対応策としては「配送ルートや配送頻度の最適化」(40.1%)が最多でしたが、「商用EVなど電動車両の導入」も6.3%が選択しています。本記事では調査結果の詳細と、そこから見える運送業界の構造的な課題を整理します(本調査は自己申告に基づくアンケートであり、行政による確認を伴うものではありません)。

1. 調査の背景:中東情勢と燃料費高騰

中東情勢の悪化による燃料価格の上昇は、国内の経済活動、とりわけ物流インフラを担う運送業界に大きな影響を及ぼしているとされています。荷主企業との運賃交渉において、急激な燃料費の増加分を十分に価格転嫁できない運送会社は多いとみられ、経営の圧迫や将来的な輸送力低下が懸念されています。今回のCUBE-LINXの調査は、この燃料費増加が運送会社の経営にどの程度の影響を与え、価格転嫁や代替策への取り組みがどこまで進んでいるかを尋ねたものです。

調査の概要は次のとおりです(プレスリリース全文)。

項目 内容
調査期間 2026年4月10日〜4月13日
調査方法 インターネット調査
調査対象 運送会社の経営者(20代〜60代の男女)
調査人数 272名
モニター提供元 RCリサーチデータ

2. 燃料費の運賃転嫁状況:9割以上が「十分にできていない」

「中東情勢の悪化に伴う燃料費の増加分を、どの程度運賃に転嫁できているか」という質問に対し、回答は次のように分かれました。

回答 回答割合
全く転嫁できていない 54.0%
一部しか転嫁できていない 36.4%
十分に転嫁できている 9.6%

「全く転嫁できていない」と「一部しか転嫁できていない」をあわせると90.4%となり、「十分に転嫁できている」と回答したのはわずか9.6%にとどまりました。自己申告に基づく回答であり企業ごとの取引条件は一様ではありませんが、今回の調査対象となった運送会社の間では、燃料費増加分の価格転嫁が大きく遅れている実態が浮き彫りになっています。

中東情勢の悪化に伴う燃料費の増加分をどの程度運賃に転嫁できているか(n=272)。全く転嫁できていない54.0%、一部しか転嫁できていない36.4%、十分に転嫁できている9.6%
出典: 株式会社CUBE-LINX「中東情勢悪化による燃料費増加が運送業界へ与える影響に関する調査」(2026年4月23日発表)

3. 事業継続への危機感:9割近くがリスクを実感

「中東情勢の悪化を背景とした燃料費の増加や、運賃への転嫁の難しさが続いた場合、今後3年間の事業継続にどの程度リスクを感じているか」という質問に対し、回答は次のとおりでした。

回答 回答割合
非常に大きなリスクを感じている 54.0%
ややリスクを感じている 33.5%
あまりリスクを感じていない 7.7%
全くリスクを感じていない 4.8%

「非常に大きなリスクを感じている」「ややリスクを感じている」をあわせると87.5%にのぼり、程度の差はあれ大多数の経営者が事業継続に何らかのリスクを感じていることがわかります。この設問と2章の転嫁状況は別々の設問であり回答者ごとのクロス集計は公表されていませんが、両者を並べて見ると、価格転嫁の遅れと事業継続への危機感が同じ調査の中で同時に高い水準で現れていることが読み取れます。

燃料費増加や運賃転嫁の難しさが続いた場合の今後3年間の事業継続リスク認識(n=272)。非常に大きなリスク54.0%、ややリスク33.5%、あまりリスクなし7.7%、全くリスクなし4.8%
出典: 株式会社CUBE-LINX「中東情勢悪化による燃料費増加が運送業界へ与える影響に関する調査」(2026年4月23日発表)

4. 価格転嫁への取り組み状況:半数近くが「動けていない」

「価格転嫁や燃料サーチャージの導入・改定についての取り組み状況」を尋ねたところ、結果は次のとおりでした。

順位 取り組み状況 回答割合
1位 取り組みたいが、具体的に動けていない 46.3%
2位 取り組み中である 23.2%
3位 交渉を始めたばかりである 14.3%
4位 取り組む予定はない 11.4%
5位 概ね完了している 4.8%
価格転嫁や燃料サーチャージの導入・改定についての取り組み状況(n=272)。取り組みたいが具体的に動けていない46.3%、取り組み中である23.2%、交渉を始めたばかり14.3%、取り組む予定はない11.4%、概ね完了している4.8%
出典: 株式会社CUBE-LINX「中東情勢悪化による燃料費増加が運送業界へ与える影響に関する調査」(2026年4月23日発表)

「取り組みたいが、具体的に動けていない」が46.3%と最多で、「取り組み中である」(23.2%)や「概ね完了している」(4.8%)を大きく上回りました。必要性は認識しつつも実行段階に進めていない企業が多いことを示しています。

5. 価格転嫁の最大の障壁は「荷主の理解不足や拒絶」

価格転嫁や燃料サーチャージの導入・改定に向けて何らかの取り組みを検討・実施している経営者(n=241)を対象に、最大の障壁を尋ねたところ、結果は次のとおりでした。

順位 最大の障壁 回答割合
1位 荷主の理解不足や拒絶 38.2%
2位 競合他社との価格競争 22.8%
3位 価格改定の根拠となるデータの不足 14.1%
4位 交渉に関する知識や人員の不足 12.0%
5位 標準的運賃や告示制度の認知不足(国が示す運賃の目安制度など) 11.2%
6位 その他 1.7%
価格転嫁や燃料サーチャージの導入・改定を進める際の最大の障壁(n=241)。荷主の理解不足や拒絶38.2%、競合他社との価格競争22.8%、価格改定の根拠データ不足14.1%など
出典: 株式会社CUBE-LINX「中東情勢悪化による燃料費増加が運送業界へ与える影響に関する調査」(2026年4月23日発表)

「荷主の理解不足や拒絶」が38.2%で突出しており、単なる価格の問題というより、荷主とのコミュニケーション・情報共有の問題である側面がうかがえます。2位の「競合他社との価格競争」(22.8%)を挟み、3位の「価格改定の根拠となるデータの不足」(14.1%)も、荷主との交渉を進める上で自社の燃料費上昇分を客観的に示すデータの整備が課題になっていることを示唆しています。「荷主の理解不足」が最大の障壁として挙がっている以上、値上げ交渉そのものを避けるのではなく、上記の標準的運賃や燃料費上昇分の根拠データを用意したうえで交渉に臨むことが、遠回りに見えて効果的な対応になり得ます。

6. 価格転嫁以外の対応策:商用EV導入は6.3%

燃料費増加に対して、価格転嫁や燃料サーチャージの導入・改定以外に検討・実施している取り組みを複数回答で尋ねたところ、結果は次のとおりでした(複数回答のため合計は100%を超えます)。

順位 取り組み 回答割合
1位 配送ルートや配送頻度の最適化 40.1%
2位 エコドライブなど運用面での燃費向上 36.0%
3位 仕入先や購入ルートの見直し 19.5%
4位 省エネ車両や関連設備への投資 15.8%
5位 商用EVなど電動車両の導入 6.3%
6位 その他 0.7%
7位 特に対応は行っていない 27.2%
燃料費増加に対して価格転嫁以外に検討・実施している取り組み(複数回答、n=272)。配送ルートや配送頻度の最適化40.1%、エコドライブ36.0%、仕入先・購入ルートの見直し19.5%、省エネ車両投資15.8%、商用EV導入6.3%など
出典: 株式会社CUBE-LINX「中東情勢悪化による燃料費増加が運送業界へ与える影響に関する調査」(2026年4月23日発表)

「配送ルートや配送頻度の最適化」「エコドライブなど運用面での燃費向上」が上位を占め、運用改善による対応が中心であることがわかります。一方、「省エネ車両や関連設備への投資」(15.8%)、「商用EVなど電動車両の導入」(6.3%)という車両・設備側の対策は、他の運用面の対策と比べるとまだ少数派ですが、一定数の企業がすでに選択肢として検討・実施していることが確認できます。燃料費が市況によって変動するコストである以上、運用面の改善だけでなく、燃料価格の変動リスクそのものを構造的に抑える車両・エネルギー構成の見直しも中長期的な選択肢の一つになり得ます。

7. よくある質問

Q. この調査における「転嫁できていない」は、具体的な金額や割合を示すものですか?
A. いいえ。本調査は経営者への自己申告ベースのアンケートであり、具体的な転嫁率や金額を検証したものではありません。あくまで各回答者の実感を集計したものとしてご参照ください。

Q. 燃料サーチャージとは何ですか?
A. 燃料価格の変動分を運賃とは別建てで荷主に転嫁するための料金制度です。本調査では燃料サーチャージの「導入・改定」への取り組み状況を価格転嫁の取り組みの一つとして尋ねています。制度の詳細な設計・運用方法は本記事の対象外です。

Q. 商用EVの導入は燃料費高騰の対策としてどの程度効果がありますか?
A. 効果は車種・走行距離・充電インフラの条件によって異なり、本調査はEV導入の効果自体を検証したものではありません。自社の運行実態に応じた効果の見込みについては、個別にご相談ください。

8. まとめ

  • CUBE-LINXの自社調査(2026年4月23日発表、運送会社の経営者272名対象)では、90.4%が「燃料費の増加分を運賃に十分に転嫁できていない」と回答した
  • 87.5%が、燃料費高騰や価格転嫁の難しさが続いた場合の今後3年間の事業継続にリスクを感じている
  • 価格転嫁への取り組みは「取り組みたいが具体的に動けていない」(46.3%)が最多で、実行段階に進めていない企業が多い
  • 価格転嫁を進める最大の障壁は「荷主の理解不足や拒絶」(38.2%)で、単なる価格交渉を超えたコミュニケーションの課題がうかがえる
  • 価格転嫁以外の対応策は運用改善が中心だが、「商用EVなど電動車両の導入」も6.3%が選択している

燃料費高騰への中長期的な備えとして、商用車のEV化や充電設備の導入をご検討の場合は、CUBE-LINXの「商用EV・充電器導入支援サービス」お気軽にお問い合わせください。関連する調査記事として、中小運送会社の収益構造に関する調査記事改正物流効率化法「1運行2時間ルール」への対応実態調査の記事もあわせてご覧ください。

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