改正物流効率化法、中長期対応の最大の壁は「予算・投資コスト」──物流事業者の78.9%が負担を実感【自社調査】

結論(2026年9月時点):2026年3月に実施した自社調査(物流特定事業者の物流部門最終責任者304名対象)によると、改正物流効率化法による特定事業者への義務付けについて「非常に負担を感じる」(32.2%)「やや負担を感じる」(46.7%)を合わせ78.9%(n=304)が何らかの負担を実感しています。物流統括管理者(CLO)は「選任済み」がまだ43.4%にとどまり、「選任予定」48.4%と「未選任」8.2%を合わせた56.6%が現時点で未選任です。中長期的な対応に着手・実行している事業者(n=210)に絞ると、対応を進める上での最大の障壁は「システム導入や設備投資に必要な予算・投資コスト」(46.2%)で、「荷主・物流会社などステークホルダーとの利害調整」(45.2%)が僅差で続きました。

本記事では調査結果の詳細と、そこから見える物流業界の法対応の実態を整理します(本調査は自己申告に基づくアンケートであり、行政による確認を伴うものではありません)。

1. 調査の背景:改正物流効率化法と物流特定事業者制度

2026年4月に本格施行される改正物流効率化法(流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律)により、一定規模以上の荷主・物流事業者は「物流特定事業者」として指定され、物流統括管理者(CLO)の選任や中長期計画の策定・定期報告が義務付けられます。トラックドライバーの時間外労働規制(いわゆる2024年問題)と並び、物流事業者にとって制度対応の負荷が高まる局面が続いています。

今回のCUBE-LINXの調査は、この中長期対応を進める上で物流特定事業者が実際にどのような負担を感じ、どこまで対応が進み、何が障壁になっているかを尋ねたものです(プレスリリース全文)。

調査の概要は次のとおりです。

項目 内容
調査期間 2026年3月9日〜3月11日
調査方法 インターネット調査
調査対象 物流特定事業者の物流部門最終責任者(20代〜60代男女)
調査人数 304名
モニター提供元 RCリサーチデータ

2. 義務付けへの負担感:8割近くが「負担」と回答

「改正物流効率化法」による特定事業者への義務付けについてどの程度負担を感じるか尋ねたところ、次の結果となりました。

回答 割合
非常に負担を感じる 32.2%
やや負担を感じる 46.7%
あまり負担を感じない 15.5%
全く負担を感じない 5.6%
改正物流効率化法の義務付けへの負担感(n=304)。非常に負担32.2%、やや負担46.7%、あまり負担なし15.5%、全く負担なし5.6%
出典:株式会社CUBE-LINX「改正物流効率化法への対応実態に関する調査」(2026年3月25日発表)

「非常に負担」と「やや負担」を合わせると78.9%に達し、物流特定事業者の多くが制度対応そのものを重荷と感じている実態が浮き彫りになっています。一方で「あまり負担を感じない」「全く負担を感じない」を合わせても21.1%にとどまり、負担感は業界全体に広く共有されている様子がうかがえます。

3. 物流統括管理者(CLO)の選任状況:半数以上がまだ選任できていない

制度の要となる物流統括管理者(CLO)の選任状況を尋ねたところ、次の結果となりました。

回答 割合
選任済み 43.4%
選任予定 48.4%
未選任 8.2%
物流統括管理者(CLO)の選任状況(n=304)。選任済み43.4%、選任予定48.4%、未選任8.2%
出典:株式会社CUBE-LINX「改正物流効率化法への対応実態に関する調査」(2026年3月25日発表)

「選任済み」は43.4%にとどまり、「選任予定」48.4%と「未選任」8.2%を合わせた56.6%が、現時点ではまだCLOを選任できていません。半数以上の物流特定事業者にとって、CLOの選任がこれから取り組むべき課題として残っている実態がうかがえます。一方で「選任予定」が48.4%と最多であることから、多くの事業者が選任の必要性自体は認識し、準備を進めている段階にあるとも読み取れます。次章で見る中長期計画の策定状況とあわせて評価する必要があります。

4. 中長期計画の策定状況:半数超が策定済みまたは大枠決定

改正物流効率化法への対応に向けた中長期的な計画の策定状況を尋ねたところ、次の結果となりました。

回答 割合
既に計画を策定済みで、実行している 20.4%
計画の大枠は決まっており、詳細を詰めている 31.9%
計画の策定に向けた社内検討を開始している 16.8%
計画策定の必要性は認識しているが、まだ着手できていない 22.0%
現時点では具体的な計画を策定する予定はない 8.9%
改正物流効率化法への中長期的な計画の策定状況(n=304)。策定済み実行中20.4%、大枠決定31.9%、社内検討開始16.8%、必要性認識も未着手22.0%、策定予定なし8.9%
出典:株式会社CUBE-LINX「改正物流効率化法への対応実態に関する調査」(2026年3月25日発表)

「既に策定済みで実行している」と「大枠は決まっており詳細を詰めている」を合わせると52.3%となり、半数超の事業者で計画の具体化が進んでいます。一方で「必要性は認識しているが着手できていない」が22.0%を占めており、CLOの選任は進んでいても、実際の計画策定という次のステップで足踏みしている事業者が一定数存在することがわかります。

5. 具体的な取り組み内容:運賃交渉・現場改善が上位

中長期的な対応で具体的に検討または実施している取り組みを尋ねたところ(複数回答可)、次の結果となりました。

順位 取り組み内容 回答割合
1位 運賃や料金の適正化に向けた運賃交渉・価格転嫁 59.1%
2位 荷待ち・荷役時間の削減に向けた現場オペレーションの改善 58.1%
3位 バース予約や動態管理システムの導入 39.5%
4位 共同輸送・共同配送の推進 36.7%
5位 モーダルシフトの推進 29.1%
改正物流効率化法への中長期対応で具体的に検討・実施している取り組み(n=210、複数回答)。運賃交渉・価格転嫁59.1%、現場オペレーション改善58.1%、バース予約・動態管理システム39.5%、共同輸送・共同配送36.7%、モーダルシフト29.1%
出典:株式会社CUBE-LINX「改正物流効率化法への対応実態に関する調査」(2026年3月25日発表、複数回答のため合計は100%を超えます)

この設問は、中長期的な計画に何らかの取り組みを検討・実施している事業者(n=210)を対象としています。最も多かったのは「運賃交渉・価格転嫁」で59.1%、僅差で「現場オペレーションの改善」が58.1%と続きました。バース予約・動態管理システムの導入やモーダルシフトの推進など、デジタル化・輸送手段の転換に踏み込んだ取り組みも一定数見られます。

6. 最大の障壁は「予算・投資コスト」:ステークホルダー調整も僅差で続く

中長期対応を進める上での社内外の障壁を尋ねたところ(複数回答可)、次の結果となりました。

順位 障壁の内容 回答割合
1位 システム導入や設備投資に必要な予算・投資コスト 46.2%
2位 荷主、物流会社などのステークホルダーとの利害調整 45.2%
3位 法対応や効率化に必要な専門知識・ノウハウを持つ人材の不足 41.0%
4位 経営層の理解不足や、社内全体の推進体制の未整備 34.3%
4位 取り組みに対する効果測定の難しさ 34.3%
障壁は特に感じていない 1.4%
改正物流効率化法への中長期的な対応を進める上での社内外の障壁(n=210、複数回答)。予算・投資コスト46.2%、ステークホルダーとの利害調整45.2%、専門人材の不足41.0%、経営層の理解不足34.3%、効果測定の難しさ34.3%
出典:株式会社CUBE-LINX「改正物流効率化法への対応実態に関する調査」(2026年3月25日発表、複数回答のため合計は100%を超えます)

この設問も前章と同じく、取り組みを検討・実施している事業者(n=210)が対象です。最も多かったのは「システム導入や設備投資に必要な予算・投資コスト」で46.2%、僅差で「荷主、物流会社などステークホルダーとの利害調整」が45.2%と続きました。両者はわずか1ポイント差であり、資金面の制約と関係者間の調整の難しさが、ほぼ同水準で事業者を悩ませている実態がうかがえます。「障壁は特に感じていない」はわずか1.4%にとどまり、対応を進めている事業者のほぼ全員が何らかの壁に直面していることも読み取れます。

予算・投資コストが最大の障壁として挙がっている以上、システム導入やバース予約・動態管理システムといった設備投資は、初期費用だけでなく運用コストまで含めた投資回収の見通しを立てたうえで検討することが、遠回りに見えて着実な対応につながります(本調査はシステム導入・設備投資全般への負担感を尋ねたものであり、特定の投資先の効果を検証したものではありません)。

なお、中長期対応の一環として、商用車の電動化やEV充電インフラの整備も同様に投資判断が必要な設備投資の一例です。こちらの検討を進める場合は、活用できる補助金の有無も含めて事前に確認しておくとよいでしょう。

7. よくある質問

Q. 改正物流効率化法の「物流特定事業者」とは何ですか?

A. 一定規模以上の輸送量を扱う荷主・物流事業者などが指定される区分で、物流統括管理者(CLO)の選任や中長期計画の策定・定期報告が義務付けられます。自社が対象になるかどうかは、国土交通省「物流効率化法について(荷主・物流事業者の皆様へ)」など、国土交通省・経済産業省・農林水産省の公表資料でご確認ください。

Q. CLOを選任すれば対応は十分ですか?

A. 今回の調査では、CLOを「選任済み」と回答したのは43.4%にとどまり、半数以上(56.6%)が選任予定または未選任でした。また、中長期計画についても「必要性は認識しているが着手できていない」事業者が22.0%存在します。CLOの選任・計画策定はいずれも対応の一部であり、自社の対応が制度上十分かどうかは、国土交通省等の公表資料や専門家にご確認ください。

Q. 予算・投資コストの壁にはどう対応すればよいですか?

A. 今回の調査では最大の障壁として46.2%(対応に着手・実行している事業者n=210が対象)が「予算・投資コスト」を挙げています。一般論としては、システム導入や設備投資を一度にすべて整えるのではなく、優先度の高い取り組みから段階的に進める、活用できる補助金を確認するなど、投資回収の見通しを立てたうえで計画的に進めることが有効とされています。個別の投資判断については専門家にご相談ください。

8. まとめ

  • 改正物流効率化法の義務付けについて、78.9%(n=304)の物流特定事業者が何らかの負担を実感している
  • 物流統括管理者(CLO)は「選任済み」がまだ43.4%にとどまり、56.6%が選任予定または未選任
  • 中長期計画は52.3%が「策定済み」または「大枠決定」の段階まで進んでいる一方、22.0%は「必要性は認識しているが未着手」
  • 中長期対応に着手・実行している事業者(n=210)に絞ると、最大の障壁は「予算・投資コスト」(46.2%)で、「ステークホルダーとの利害調整」(45.2%)が僅差で続く

商用車の電動化やEV充電インフラの整備など、中長期対応の一環として設備投資をご検討の場合は、CUBE-LINXの「商用EV・充電器導入支援サービス」お気軽にお問い合わせください。関連する調査記事として、改正物流効率化法「1運行2時間ルール」への対応実態調査の記事中小運送会社の収益構造に関する調査記事業務でEVを運転する人の実態調査の記事もあわせてご覧ください。

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