「1運行2時間ルール」荷主企業の87%が対応済み──残り13%が直面する課題とは【自社調査】
結論: 電動車・充電インフラの導入コンサルティングや稼働管理サービスを手がける株式会社CUBE-LINX(東京都日野市)が2026年8月26日に発表した自社調査(プレスリリース)によると、改正物流効率化法における特定事業者に該当する荷主企業の物流部門最終責任者330名のうち、87.0%が「自社が手配する輸送における荷待ち・荷役時間を、1運行につき平均2時間以内に収めることができている」と自己申告しました。政府が掲げる全国目標は「令和10年度までに運行の5割で2時間以内を実現する」というものなので、今回の調査対象企業の多くはすでにこの中期目標を上回る水準にあると認識していることになります。一方で13.0%は未対応と回答しており、対応できていると回答した層を含め、共通の課題として「価格転嫁の難しさ」「荷役人員の不足」「時間の正確な計測・データ化の遅れ」などが挙がっています。本記事では調査結果の詳細と、残された課題にどう向き合うべきかを整理します(本調査は自己申告に基づくアンケートであり、行政による認定や確認を伴うものではありません)。
目次
1. 「1運行2時間ルール」とは何か
本記事で使う「1運行2時間ルール」という呼び方は法令上の正式名称ではなく、便宜的な通称です。根拠となるのは2024年に成立した「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(令和6年法律第23号)で、この改正にあわせて基となる法律の名称も「物資の流通の効率化に関する法律」に変更されました。同法は、荷主・物流事業者に対し、荷待ち・荷役時間の短縮など物流の効率化に努める努力義務を課しています。
国土交通省の資料によると、政府は令和10年度までに、全国の運行の5割で1運行あたりの荷待ち・荷役等時間を計2時間以内に短縮することを目標に掲げています(あわせて、5割の車両で積載効率50%を実現する目標も設定されています)。また、1回の受渡しごとの荷待ち・荷役等時間を1時間以内にする目標も別途あります。つまり「2時間以内」は、すべての運行に一律で課される罰則付きの義務ではなく、国全体で目指す中期目標(KPI)である点に注意が必要です。
これとは別に、荷待ち・荷役時間短縮の努力義務そのものはすべての荷主・物流事業者を対象に2025年度(令和7年4月1日)から適用が始まっており、一定規模以上の「特定事業者」(特定荷主・特定連鎖化事業者等)には、中長期計画の作成や物流統括管理者の選任、定期報告などが2026年度(令和8年4月1日)から義務化されています。今回のCUBE-LINXの調査対象は、この特定事業者に該当する荷主企業の物流部門最終責任者です。
出典: 国土交通省ほか「物流効率化法」理解促進ポータルサイト、経済産業省・国土交通省・農林水産省「改正物効法に基づく特定事業者の対応について」(2025年9月17日・18日)
2. 調査結果:87.0%が「2時間以内」に収まっていると回答
CUBE-LINXが2026年8月26日に発表した調査の概要は次のとおりです(プレスリリース全文)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査期間 | 2026年7月31日〜8月1日 |
| 調査方法 | インターネット調査 |
| 調査対象 | 改正物流効率化法における特定事業者に該当する荷主企業の物流部門最終責任者(20代〜60代の男女) |
| 調査人数 | 330名 |
| モニター提供元 | RCリサーチデータ |
「現在、貴社が手配する輸送において、荷待ち・荷役時間を1運行につき『平均2時間以内』に収めることができていますか」という質問に対し、87.0%が「対応できている」、13.0%が「対応できていない」と回答しました。自己申告に基づく回答であり行政による確認を伴うものではありませんが、政府が掲げる全国目標(令和10年度までに運行の5割で2時間以内)と比べると、今回調査対象となった特定事業者の多くが、すでにこの中期目標を上回る水準にあると認識していることがうかがえます。

3. どんな対策が効いているのか
荷待ち・荷役時間の短縮のために実施している対策(複数回答)を尋ねたところ、結果は次のとおりでした。
| 順位 | 実施している対策 | 回答割合 |
|---|---|---|
| 1位 | パレット化の推進 | 41.2% |
| 2位 | 運行スケジュールの調整 | 40.6% |
| 3位 | フォークリフト等の荷役機器導入 | 38.5% |
| 4位 | 荷役人員の増員・シフト見直し | 37.9% |
| 5位 | 倉庫管理システム(WMS)の導入 | 37.6% |
| 6位 | 入退場管理システムの導入 | 37.0% |
| 7位 | その他 | 33.3% |
| 8位 | 特にない | 5.8% |

一方、何らかの対策を実施した企業を対象に「最も時間削減効果を実感した対策」を1つ選んでもらうと、結果は次のように変わります。
| 順位 | 最も効果を実感した対策 | 回答割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 運行スケジュールの調整 | 19.9% |
| 2位 | 倉庫管理システム(WMS)の導入 | 18.6% |
| 3位 | バース予約システムの導入 | 14.1% |
| 4位 | 入退場管理システムの導入 | 12.9% |
| 5位 | 荷役人員の増員・シフト見直し | 12.5% |
| 6位 | パレット化の推進 | 11.9% |
| 7位 | フォークリフト等の荷役機器導入 | 9.3% |
| 8位 | その他 | 0.6% |

実施率で1位だった「パレット化の推進」は、効果実感ランキングでは6位(11.9%)にとどまります。反対に、実施率では6位だった「入退場管理システムの導入」は効果実感で4位に上がっており、また実施率の設問には選択肢として登場しない「バース予約システムの導入」が効果実感では3位(14.1%)に入っています(実施した対策・効果を実感した対策の選択肢はそれぞれ別に用意されているため、単純な順位の入れ替えとしては比較できない点にご留意ください)。全体として、荷役機器やパレット化への投資は前提条件として広く導入されている一方、体感的に効果が大きいのはスケジュールやシステムによる「調整・可視化」系の施策だという傾向がうかがえます。
4. 荷主企業が課題に感じていること
「1運行2時間ルール」の遵守(令和10年度目標)に向けた課題を、調査対象全体に複数回答で尋ねたところ、上位8項目は次のとおりでした。
| 順位 | 課題 | 回答割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 対策費用や運賃上昇分などの価格転嫁の難しさ | 29.1% |
| 2位 | 荷役人員の不足 | 28.8% |
| 3位 | 荷待ち・荷役時間の正確な計測やデータ化の遅れ | 28.5% |
| 4位 | 手作業(バラ積み・バラ降ろし)への依存 | 27.3% |
| 5位 | 経営層や他部門の物流課題に対する理解・危機感の不足 | 26.7% |
| 6位 | 隠れ待機時間の実態把握の難しさ | 25.2% |
| 7位 | 取引先からの理解や協力の不足 | 24.5% |
| 8位 | システム導入の予算やノウハウの不足 | 23.9% |

費用の価格転嫁と人員不足は、個々の荷主企業の努力だけでは解決しにくい構造的な課題です。加えて「荷待ち・荷役時間の正確な計測やデータ化の遅れ」が3位、「隠れ待機時間の実態把握の難しさ」が6位に入っている点は見逃せません。「対応できている」という回答自体が自己申告である以上、まず自社の荷待ち・荷役時間を正確に把握できていない企業が一定数存在することを示唆しています。また5位の「経営層や他部門の物流課題に対する理解・危機感の不足」は、現場の物流部門だけでは解決できない、社内合意形成の課題であることを示しています。
5. 今後、荷主企業が強化すべき対策
「自社が今後、『1運行2時間ルール』の遵守(令和10年度目標)に向けて、最も必要だと考える対策」を1つ選んでもらった結果は次のとおりです。
| 順位 | 最も必要な対策 | 回答割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 人員の増強・配置最適化 | 19.1% |
| 2位 | 荷役作業の機械化・自動化 | 14.2% |
| 3位 | 運送事業者との連携強化 | 13.6% |
| 4位 | 倉庫管理システム(WMS)の導入 | 11.8% |
| 5位 | 入退場管理システムの導入 | 11.2% |
| 6位 | 業界統一ルール・ガイドラインの整備 | 10.0% |
| 7位 | その他 | 16.1% |
| 8位 | わからない | 3.9% |

「人員の増強・配置最適化」が最も必要な対策として選ばれた背景には、課題の2位に挙がった「荷役人員の不足」が関連していると考えられます。ただし、人員を単純に増やすのではなく、配置の最適化や機械化・自動化とあわせて進めることで、限られた人員でも荷待ち・荷役時間を短縮できる余地があると考えられます。また「その他」が2位相当の16.1%と高いのも特徴で、個社の事情に応じた対策が幅広く模索されている実態がうかがえます。
3章で見たように「運行スケジュールの調整」は実施率・効果実感の両方で上位に入っており、荷待ち・荷役時間の正確な計測・可視化とセットで取り組むことで、追加の設備投資を抑えながら改善効果を得やすい対策といえます。CUBE-LINXでは、荷待ち・荷役時間を含む運行状況を可視化する稼働管理サービスを提供しています。計測体制やスケジュール調整の仕組みづくりでお困りの場合は、あわせてご相談ください。
6. よくある質問
Q. 「1運行2時間ルール」に法的な罰則はありますか?
A. 「2時間以内」は、政府が令和10年度までに全国の運行の5割で実現することを目指す中期目標(KPI)であり、個々の運行ごとに罰則が科される規定ではありません。一方、一定規模以上の「特定事業者」には中長期計画の作成や定期報告などが義務付けられています。改正物流効率化法の適用範囲・義務内容・罰則等の詳細は、国土交通省ほか「物流効率化法」理解促進ポータルサイトなど公式情報でご確認ください。
Q. この調査における「対応できている」は、行政への報告義務を満たしていることを意味しますか?
A. いいえ。本調査は、荷主企業の物流部門最終責任者への自己申告ベースのアンケート結果であり、行政による認定や報告内容の確認を伴うものではありません。あくまで各回答者の実感・認識を集計したものとしてご参照ください。
Q. 自社が「特定事業者」に該当するかはどう確認すればいいですか?
A. 特定事業者に該当するかどうかは、取扱貨物量や車両台数などの基準によって決まります。詳細な該当基準は国土交通省ほか公式ポータルサイトでご確認ください。
7. まとめ
- CUBE-LINXの自社調査(2026年8月26日発表、荷主企業の物流部門最終責任者330名対象)では、87.0%が「1運行2時間以内」という指標に対応できていると自己申告した
- 政府目標は「令和10年度までに全国の運行の5割で2時間以内を実現」というKPIであり、今回の調査結果はこれを上回る水準にあることを示唆している
- 実施率が高い対策は「パレット化」「運行スケジュールの調整」「荷役機器導入」だが、効果実感で上位に入るのは「運行スケジュールの調整」「WMS導入」「バース予約システム導入」など調整・可視化系の施策
- 対応できていると回答した層を含め、「価格転嫁の難しさ」「荷役人員の不足」「時間の計測・データ化の遅れ」「隠れ待機時間の把握」などが共通課題として残っている
- 今後強化すべき対策として「人員の増強・配置最適化」が最も多く選ばれたが、機械化・自動化や連携強化とあわせた取り組みが求められる
自社の荷待ち・荷役時間の計測体制や運行スケジュールの最適化についてご相談がある場合は、CUBE-LINXのコンサルティングにお気軽にお問い合わせください。
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