【2025年最新】徹底比較 LEVO補助金とNeV補助金!知らないと損する選定と申請のポイントを徹底解説
2050年のカーボンニュートラル実現に向け、物流業界でも脱炭素化の動きが加速しています。その切り札として注目されているのが「EV(電気自動車)トラック」です。しかし、導入には車両価格や充電設備の設置など、初期コストが課題となります。
「EVトラックを導入したいが、コストが心配…」
「補助金制度があるらしいけど、種類が多くて複雑でわからない」
そんなお悩みを抱える事業者様のために、本記事ではEVトラック導入に活用できる国の補助金制度を網羅的に解説します。2025年度の最新情報に基づき、2つの主要な補助金「NeV補助金」と「LEVO補助金」を徹底比較。特に事業者様にとってメリットの大きい「LEVO補助金」については、申請のポイントから受給までの流れを詳しくご紹介します。
この記事を読めば、自社に最適な補助金がわかり、スムーズなEVトラック導入計画を立てられるようになります。ぜひ最後までご覧ください。
目次
なぜ今、EVトラックなのか?国が普及を強力に後押しする背景
なぜ国は多額の予算を投じてまで、EVトラックの普及を推進しているのでしょうか。その背景には、政府が掲げる「グリーン成長戦略」があります。
充電インフラの大幅拡充計画
2021年に経済産業省が発表した「グリーン成長戦略」では、当初、充電インフラの設置目標を「急速充電器3万基を含む15万基」としていました。しかし、EVシフトをさらに加速させるため、2023年6月に目標を大幅に引き上げ、2030年までに充電インフラを30万口まで倍増させる方針を打ち出しました。
(2023年より設置目標が「基」から「口」に変更されています。これは急速充電器などでみられる充電器1基で2口持つものがあるためです)
【2030年までの充電インフラ設置目標(30万口)】
- 急速充電器:3万口
- 高速道路、道の駅、ガソリンスタンド、コンビニ、ディーラーなど
- 普通充電器:27万口
- 公共施設、商業施設、ホテル、マンション、戸建住宅など
このように、いつでもどこでも充電できる環境を整備することで、EVの利便性を高め、普及のハードルを下げようとしています。

出典サイト:経済産業省、充電インフラ整備促進に向けた指針を基にCUBE-LINXにて作成
EVトラックの導入目標
充電インフラと並行して、車両自体の導入目標も設定されています。特に、配送などで利用されることの多い小型トラック(8トン以下)については、具体的な数値目標が掲げられています。
- 2030年まで: 新車販売における電動車(※)の比率を20~30%に
- 2040年まで: 新車販売の100%を電動車または脱炭素燃料車に
(※電動車とは電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車を指します)
また、全日本トラック協会も「環境ビジョン2030」の中で、2030年までに小型トラックの電動車保有台数比率を10%にする目標を掲げています。
これらの政策からもわかるように、EVトラックの導入はもはや選択肢の一つではなく、事業継続に不可欠な経営課題となりつつあります。そして、この大きな変革を後押しするために、手厚い補助金制度が用意されているのです。
出典サイト:経済産業省, 「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(本文)
出典サイト:経済産業省, 充電インフラ整備促進に向けた指針
EVトラック導入に使える!2大補助金を徹底比較
EVトラックや充電設備の導入に活用できる国の補助金は、主に2つあります。経済産業省が所管する「NEV補助金」と、環境省が所管する「LEVO補助金」です。それぞれの特徴を理解し、自社に合った制度を選ぶことが重要です。
項目 | NeV補助金 | LEVO補助金 |
---|---|---|
正式名称 | クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金 | 商用車の電動化促進事業(トラック・タクシー・バス) |
所管省庁 | 経済産業省 | 環境省 |
執行団体 | 次世代自動車振興センター(NeV) | 公益財団法人日本自動車輸送技術協会(LEVO) |
補助対象 | 充電設備単体での申請が可能 | 車両と充電設備のセットでの申請が必須 |
主な特徴 | ・公共性の高い場所への設置が優先 ・申請期間が短く、競争が激しい | ・商用車に特化 ・原則先着順 ・車両台数分の充電器を申請可能 |
事業者にとってのメリット | ・車両導入計画がなくても充電器を設置できる | ・商用車用途であれば採択されやすい ・計画的に申請しやすい |
事業者にとってのデメリット | ・事業所内設置は優先度が低く、採択されにくい ・基準額を下回る工事費でないと申請が難しい | ・車両と充電器を同時に導入する必要がある |
NeV補助金:公共向けだが、一部事業者も活用可能
NeV補助金は、主に高速道路のSA・PAや道の駅、商業施設など、不特定多数が利用する「公共用」の充電インフラ整備を目的としています。そのため、自社のトラック専用に事業所内へ設置する場合は、優先順位が低くなり、採択のハードルが高いのが実情です。下記にNeVが公表している補助金内訳を示しますので参考にしてください。
ただし、充電器単体で申請できるため、「将来のEVトラック導入に備えて、まずは充電設備だけ整備したい」といったケースでは選択肢となり得ます。

出典サイト:一般社団法人次世代自動車振興センター(NeV)を基にCUBE-LINXにて作成
LEVO補助金:事業者ならまず検討すべき本命の補助金
一方、LEVO補助金は、その名の通り商用車の電動化を促進するための事業に特化した補助金です。最大のポイントは「車両と充電設備のセット申請」が必須である点ですが、これはEVトラック導入を計画している事業者にとっては、むしろ大きなメリットとなります。
公共性を問われず、原則として先着順で受付されるため、要件を満たして計画的に申請すれば、採択される可能性が非常に高い補助金です。EVトラックと充電設備を同時に導入する事業者様にとっては、まさに「本命」と言える制度でしょう。
【事業者必見】LEVO補助金の詳細と申請完全ガイド
ここからは、多くの事業者様にとって最も現実的な選択肢となる「LEVO補助金」について、申請前に必ず押さえておくべき3つのポイントと、具体的な補助金額、申請の流れを詳しく解説します。
ポイント1:補助対象となる「車両」の条件
LEVO補助金を利用するには、どのEVトラックでも良いわけではありません。以下の条件をクリアしている必要があります。
- 環境省の事前登録を受けた車両であること
補助金の対象となる車両は、あらかじめ執行団体(LEVO)のウェブサイトで公表されています。2024年4月時点では16社58車種(令和7年6月19日現在)が登録されており、そのほとんどがバッテリーEVです。まずは導入を検討している車両がリストに含まれているかを確認しましょう。 - 【最重要注意点】車両総重量2.5トン以下の「自家用」は対象外
特に注意が必要なのが、小型EVトラックの扱いです。車両総重量が2.5トン以下で、かつ用途が「自家用」(白ナンバー)の場合、補助対象外となります。例えば、黄色ナンバーの軽EVトラックを自家用として使用する場合は、この補助金は利用できません。
事業用(緑ナンバー)であれば2.5トン以下でも対象となる可能性があるため、自社の車両の登録区分と重量を必ず確認してください。
ポイント2:補助対象となる「申請者」の条件
次に、誰が申請できるかという条件です。以下のいずれかに該当する事業者であれば申請が可能です。
- 貨物自動車運送事業者
- 旅客自動車運送事業者
- 自動車の貸渡し(リース・レンタル)を業とする者
- 地方公共団体
- 上記の者と共同して事業を行う者 など
多くの運送事業者様は該当するかと思いますが、申請前に自社が対象に含まれるかを確認しておきましょう。
また、申請にあたっては「非化石エネルギー自動車の導入計画」の策定と提出が求められます。「何年度までにEVトラックを何台導入し、保有車両全体に占める電動化率を何%にする」といった、具体的な数値目標と将来のビジョンを示す必要があります。
ポイント3:補助対象となる「充電設備」の条件
車両と同様に、充電設備にも満たすべき基準があります。
- 普通充電器: JARI認証を受けている製品
- 急速充電器: CHAdeMO認証を受けている製品
これらの認証は、充電器の安全性や互換性を担保するものです。認証を受けていない製品でも、第三者機関による安全証明書があれば認められる場合がありますが、基本的には執行団体のウェブサイトに掲載されている「補助対象充電設備リスト」から選ぶのが最も確実でスムーズです。
安価な海外製品などには認証がないものも含まれるため、「安いから」という理由だけで選んでしまうと、補助金が使えないという事態になりかねません。必ずリストを確認しましょう。
気になる補助金額は?
LEVO補助金では、充電設備の「機器本体費用」と「設置工事費用」の両方が補助対象となります。補助率と上限額は以下の通りです。
【充電設備の補助率と上限額(一例)】
種類 | 補助対象 | 補助率 | 上限額(1口あたり) |
---|---|---|---|
普通充電器(6kW以上) | 機器本体 | 1/2 | 35万円 |
設置工事 | 10/10(全額) | 135万円 | |
急速充電器(50kW未満) | 機器本体 | 1/2 | 160万円 |
設置工事 | 10/10(全額) | 230万円 |
※上記は一例です。機器の性能や工事内容によって変動します。
注目すべきは工事費の補助率が10/10(全額)である点です。上限額はありますが、設置にかかる費用の大半をカバーできるため、非常に手厚い内容となっています。
例えば、6kWの普通充電器を3台導入する場合、工事費の上限は「135万円 × 3台 = 405万円」まで補助される可能性があります。車両台数と同じ口数の充電器を申請できるため、複数台の同時導入を計画している事業者にとっては大きなメリットです。
補助金申請から受給までの5ステップ【交付決定前の発注はNG!】
補助金の申請手続きは、正しいステップを踏むことが非常に重要です。特に、発注のタイミングを間違えると補助金が受け取れなくなってしまうため、以下の流れを必ず守ってください。
【Step 1】交付申請
導入する車両と充電器を決定し、導入計画や見積書などを揃えて、執行団体に「交付申請書」を提出します。この段階では、まだ発注・契約は行いません。
【Step 2】交付決定通知の受領
申請内容が審査され、問題がなければ執行団体から「交付決定通知書」が届きます。ここが最も重要な分岐点です。

出典サイト:一般財団法人 環境優良車普及機構,令和6年度補正予算 商用車等の電動化促進事業を基にCUBE-LINX作成
【Step 3】車両・充電設備の発注・施工
必ず「交付決定通知書」を受け取ってから、車両や充電設備の発注、工事契約を行います。通知日より前に発注・契約した費用は、すべて補助対象外となってしまいますので、絶対にフライングしないようにしてください。
【Step 4】完了実績報告
車両の登録と充電設備の設置が完了したら、設置状況の写真や支払いを証明する書類などをまとめて「完了実績報告書」を提出します。
【Step 5】補助金の受領
実績報告書が受理・審査され、補助金額が確定すると「額の確定通知書」が届きます。その後、請求書を送付し、ようやく指定の口座に補助金が振り込まれます。
このように、申請から受給までには多くのステップと時間が必要です。補助金が実際に入金されるのは、全ての事業が完了し、支払いを終えた後になることを念頭に置き、無理のない資金計画と導入スケジュールを立てることが成功の鍵です。

まとめ:専門家と連携し、計画的なEVトラック導入を
今回は、EVトラック導入に活用できる2025年最新の補助金制度について、特に事業者様向けの「LEVO補助金」を中心に詳しく解説しました。
【本記事のポイント】
- 国は2030年までに充電インフラを30万口に倍増させる目標を掲げ、EVシフトを強力に推進している。
- 事業者向けの補助金は、車両と充電器をセットで申請する環境省の「LEVO補助金」が本命。
- 申請には「対象車両・申請者・充電器」の3つの条件を満たす必要がある。
- 「交付決定通知」を受け取る前に発注・契約すると補助対象外になるため、タイミングが最重要。
- 申請から受給までは長期間を要するため、計画的な準備が不可欠。
補助金申請は、見積もりの作成方法や提出書類などに細かな規定があり、手続きが煩雑に感じるかもしれません。スムーズに申請を進めるためには、補助金申請の経験が豊富な工事会社や専門家と連携することをおすすめします。経験豊富なパートナーは、書類作成のサポートだけでなく、採択されやすい見積もりの作成や、行政とのやり取りも円滑に進めてくれるため、事業者様の負担を大幅に軽減できます。
弊社では、補助金申請の実績が豊富な工事会社のご紹介も可能です。EVトラック導入や充電設備の設置に関するご相談、補助金に関するご質問など、いつでもお気軽にお問い合わせください。
この記事が、皆様のEVトラック導入の一助となれば幸いです。
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