EV充電器導入、何から始める?企業の課題を解決する「失敗しない」選び方【担当者向け】
近年、企業のEV(電気自動車)導入を検討するうえで、必ず直面するのが「EV充電器」の課題です。
「どんな充電器を選べばいいの?」「設置工事は大変?」「費用はどれくらいかかる?」といった疑問を抱え、導入に踏み切れない企業担当者の方も多いのではないでしょうか。
さらに家庭用のEVであれば、EV1台に対して1台の充電器を設置するだけでよいので、そこまで困ることはないと思いますが、複数台のEVを運用する企業となると検討の複雑さが増します。
本記事では、EV充電器導入を検討されている企業の担当者様向けに、「最適な充電器の選び方」から「導入時の注意点」、さらには「補助金の活用方法」まで、具体的なステップと役立つ情報をご紹介します。
目次
第1章:EV充電器選びの基本を押さえよう
EV充電器には、大きく分けて「普通充電器」と「急速充電器」の2種類があります。自社の運用に合ったタイプを選ぶことが、導入成功の第一歩です。
▼ 普通充電器と急速充電器の比較
| 項目 | 普通充電器 | 急速充電器 |
|---|---|---|
| 充電速度 | 遅い(数時間~一晩)※ | 速い(1時間で80%程度)※ |
| 主な用途 | 夜間充電、長時間駐車時 | 短時間で追加充電、緊急時 |
| 設置費用 | 比較的安価 | 高価 |
| 電力契約 | 低圧契約(一般企業向け)から設置が可能 | 高圧契約になることがおおい (大容量が必要) |
※充電器の出力や車両の電池容量により変化するのであくまでも目安
ポイント:稼働状況から最適なタイプを見極める
- 夜間や勤務中に長時間駐車する車両が多い場合:普通充電器が経済的で十分なことが多いです。
- 短時間での充電が必要な場合や、緊急時の備え:急速充電器の導入も検討価値があります。
まずは、自社の車両が「いつ、どれくらいの時間、どこで充電できるか」を具体的にイメージしてみましょう。
第2章:kW(出力)の選び方と必要な台数
充電器の出力(kW)は充電速度に直結し、必要な充電器の台数にも影響します。単に「出力が高い方が良い」わけではありません。
▼ 出力と充電時間の関係
普通充電器の主な出力は3kW、6kW、10kWなどです。出力が高いほど短時間で充電できますが、その分、費用も高くなります。
- 3kW:最も安価。充電に時間がかかるため、夜間など長時間駐車できる場合に適しています。
- 6kW:標準的。多くのEVで効率的に充電でき、導入費用とのバランスも良好です。
- 10kW以上:より早く充電したい場合や、将来的なEV増加を見据える場合に有効ですが、受電設備の改修費用が高くなる傾向があります。
▼ 必要な台数の考え方
「車両台数=充電器台数」が理想ですが、コストを抑えるために共有運用も可能です。
- 車両稼働時間と充電可能時間:車両が営業所に戻ってから翌日の出発までにどれくらい充電時間が確保できるか。
- 充電システムの活用:複数台のEVで充電器を共有する場合、充電管理システム(自動切り替え、出力制御など)の導入で効率的な運用が可能です。手動での付け替えは手間や充電忘れのリスクが高まります。
最終的な台数は、日々の走行距離、バッテリー容量、そして充電にかけられる時間を総合的に考慮して決定しましょう。
第3章:電力インフラの確認と工事のポイント
EV充電器の導入で最も重要かつ複雑なのが、既存の電力インフラとの兼ね合いです。特に古い建物の場合、事前の確認が必須です。
▼ 確認すべき電力インフラ項目
- 電力契約の種類と容量:現在の電力契約が「低圧」か「高圧」か、そして契約容量が何kVAかを確認します。充電器の出力や台数によっては、契約容量の増強が必要になります。
- 受電設備の状況:分電盤や配線など、建物側の既存設備が充電器の追加負荷に耐えられるかを確認します。
- 将来の拡張性:将来的にEVの台数を増やす計画がある場合、今から受電設備全体の増強を見据えた計画を立てることが重要です。
ポイント:専門業者への早期相談がカギ
電力インフラの調査や設計は専門的な知識が必要です。電気工事の専門業者や充電器メーカーに、できるだけ早い段階で現地調査とヒアリングを依頼しましょう。これにより、思わぬ追加工事やコスト発生を防ぐことができます。
もちろんCUBE-LINXでも調査から設備増強まで対応可能ですのでお気軽にご相談ください。
第4章:賢く活用!補助金・助成制度の選び方
EV充電器の導入には、国や地方自治体からの補助金・助成制度が用意されています。これらを活用することで、導入コストを大幅に削減できます。
▼ 主な補助金・助成制度
- 国の補助金(LEVOなど):
- 一般的にEV車両の購入とセットで充電器・工事費用も対象となることが多いです。
- 「次世代自動車振興センター(LEVO)」が実施する補助金が代表的です。
- 地方自治体の補助金:
- 各都道府県や市区町村が独自に、充電器導入に対する補助金制度を設けている場合があります。
- 国の補助金と併用可能なケースもあるため、必ず確認しましょう。
ポイント:情報収集と申請代行の活用
補助金制度は種類が多く、申請手続きも煩雑な場合があります。最新の情報を確認し、自社で活用できる制度を把握しましょう。多くの充電器メーカーや販売店では、補助金申請のサポートや代行サービスを提供しています。これを活用することで、手間を大幅に削減できます。
また弊社のコラム記事でも補助金の概要を紹介しておりますので、こちらも合わせて読んでみてください。
参考記事:【2025年最新版】商用EV導入を支援!令和6年度「商用車等の電動化促進事業」LEVO補助金を解説!!
参考記事:【2025年最新】徹底比較 LEVO補助金とNeV補助金!知らないと損する選定と申請のポイントを徹底解説
第5章:見落としがちな運用上の注意点
充電器を設置して終わりではありません。日常の運用をスムーズに行うための工夫も重要です。
▼ 設置場所と安全性の確保
- 車両動線:充電器が車両の出入りや荷物の積み下ろし、洗車などの業務動線を邪魔しない場所に設置しましょう。
- 安全確保:充電ケーブルが車両に踏まれたり、引っかかったりしない配置が重要です。夜間や雨天時でも安全に接続できるか、実際にシミュレーションすることをおすすめします。
- トラブル防止:駐車位置のズレによる充電器本体の接触・破損、ケーブルの断線などのトラブルを避けるため、駐車枠の明確化や輪止めの設置も有効です。
▼ 充電管理システムの導入
複数台のEVを運用する場合、充電管理システムの導入を検討しましょう。
- 充電の自動開始・停止、出力調整
- リアルタイムでの充電状況把握
- 電力ピークカット機能による電気代削減
安価な充電器の中には、国内の管理システムと連携できないものもあります。将来的な運用を見据え、システム連携が可能な充電器を選ぶことが肝心です。
おわりに:EV充電器は「未来への投資」
EV充電器の導入は、単なる設備の購入ではなく、貴社の持続可能な経営に向けた重要な「未来への投資」です。
適切な充電器を選び、最適な運用体制を整えることで、EVのメリットを最大限に引き出し、企業の環境貢献とコスト削減に繋げることができます。
本記事が、貴社のEV充電器導入検討の一助となれば幸いです。具体的なご相談や現地調査のご依頼など、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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