持続可能な社会の実現に向けて、物流や運送、営業車両といった商用車分野でも「電動化(EV化)」が加速しています。こうしたなか、国は令和6年度補正予算として「商用車等の電動化促進事業」を打ち出し、事業者によるEV(電気自動車)やFCV(水素燃料電池車)の導入、充電設備の設置を強力に後押ししています。
本記事では、同制度の概要や申請要件、補助対象、申請の流れ、活用のポイントについて、わかりやすく解説します。

目次
1. なぜ今、商用車の電動化が求められているのか?
2. 商用EVに関わる補助金の全体像
3. 「商用車等の電動化促進事業(LEVO補助金)」の概要
4. 申請方法とスケジュール
5. 申請における注意点
6. まとめ

1. なぜ今、商用車の電動化が求められているのか?

日本政府は2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、運輸部門の脱炭素化を重要課題と位置づけています。特に商用車は、走行距離が長く、稼働頻度も高いため、CO₂排出量削減への影響が大きい領域です。
さらに、2024年問題(物流・運送業界における働き方改革関連法への対応)を背景に、効率的で持続可能な輸送体制の再構築が急務となっており、これに対する一手としてEVトラックやFCバスの導入が期待されています。

 

2. 商用EVに関わる補助金の全体像

商用EVおよび充電器設置にかかる補助金には、環境省(CEV補助金)と経済産業省(LEVO補助金)が交付する補助金がそれぞれにあります。それぞれの特徴をよく理解し、事業者にあった補助金を申請していくことが望ましいです。また、これらは併用できませんが、地方自治体が交付する補助金とは併用できる場合があり、知っているのと知らないのとではEV導入時の負担が大きく変わります。


※2025年5月現在。各WEBサイトを基に当社にて作成。
参照:一般社団法人次世代自動車振興センター「CEV補助金」
参照:一般財団法人環境優良者普及機構 令和6年度補正予算 商用車等の電動化促進事業

今回は商用EVと充電器をセットで申請が可能な経済産業省の「LEVO補助金」に焦点を当て、対象となる車種や補助金の申請方法について解説します。

 

3. 「商用車等の電動化促進事業(LEVO補助金)」の概要

◆対象期間
令和7年3月31日~令和8年1月20日(すでに受付中!!)

◆予算規模
約295億円

◆事業概要
Ⅰ.電動商用トラックの車両導入経費補助
Ⅱ.充電設備の機器導入・工事補助

I.電動商用EVトラック補助
補助金を受け取るには決められた条件を満たす必要があります。ここでは補助対象となる車種や交付条件について解説します。
LEVO補助金は、白ナンバーや緑ナンバーの事業用・自家用車両が補助対象となりますが、総重量により対象が異なるため、注意が必要です。

・車両総重量2.5トン超の車両(事業用、自家用)
・車両総重量2.5トン以下の車両(事業用のみ)


補助金額について
BEV(バッテリーEV)の場合、ディーゼル車両等価格との差額の2/3が交付されます。

各メーカー車両によって、補助金額が定められております。
車両ごとの補助金額はWEBにて公開されておりますので、下記の参照より確認してみてください。

※参照:「令和6年度補正予算 商用車等の電動化促進事業」 補助対象車両一覧

商用EVの購入だけでなく、リース契約の車両も補助の対象となっています。また、令和7年4月1日以降に新規登録された車両の場合は、リースの場合でも使用者が申請しなければならない点にも注意する必要があります。

 

Ⅱ.充電設備補助
EVを導入する際は、充電設備の設置も併せて検討する必要があります。設置費用は高額になる場合がありますが、充電設備にも補助金を活用することができます。
EVの充電については以下の記事で詳しく解説しています。

対象になる設備
EV充電設備の補助金を申請するには、車両導入と一体的に事務所、拠点等に設置するもの(車両台数≧充電器口数)が条件となります。また、国が指定した対象設備を購入し、その設置地の使用権限を有していることが必要です。

・充電設備本体
・充電設備工事費
・受電設備

補助金額 『6kW普通充電器の設置で最大170万円補助』
充電設備費や工事費の50%〜100%が補助されます。普通充電器から急速充電器まで幅広く補助の対象となっています。
充電器本体の場合、おおよそ補助率は50%であり、用途や出力により補助率が設定されています。6kW出力の普通充電器の場合は、最大35万円が交付されます。
充電器工事費の場合、必要と認めた経費の100%の補助率が設定されており、6kW出力の普通充電器の場合は、最大35万円が交付されます。

 

4. 申請方法とスケジュール

申請から交付決定までの流れは以下のようになります。

①対象者の確認
・補助対象は、電動商用車(BEV/PHEV/FCV)を導入する事業者など
・充電設備は、車両と一体的に導入する必要あり

②事前登録(審査あり)
・LEVOによる事前審査を通過しないと申請できません
・必要書類:設置場所、設備仕様、設計概要など

③補助金申請手続き・交付申請書の提出
・交付申請期間中に必要書類をLEVOに提出
・申請は Web上(Jグランツ不可)

④交付決定通知の受領
・審査の後、交付決定通知が発行される
・交付決定前に契約・工事着手は不可

※先着順ではありませんが、予算上限に達し次第終了の可能性あり

⑤設備工事と報告
設置工事の実施
・交付決定後、補助対象設備の設置工事を実施
・工事内容が事前申請と異なる場合は変更申請が必要

⑥実績報告書の提出
・工事完了後、必要な証憑類を添付して提出
・完了写真、請求書・領収書、設置図面などを含む

 

5. 申請における注意点

補助金制度は、年度によって金額や交付条件が異なります。また申請期間中は、最新情報を確認し、早めに動くことが重要です。

補助額や交付条件が毎年変わる
商用EVや充電設備の補助額は、毎年金額や交付条件が変わるため、申請を検討している場合は最新情報の確認が重要です。

早めの導入計画の作成が必要
補助金の交付を受けるためには、事前の審査が必要であり、審査には一定期間を要します(目安は30営業日)。補助金を賢く使っていくためには、導入希望時期にから逆算した申請スケジュールの設計が重要です。

 

6. まとめ

今回は商用EVの補助金、なかでも『LEVO補助金』について解説しました。補助金を活用することで導入費用を削減できる一方で、制度の内容や条件が毎年変わるため、最新情報を常にチェックする必要があります。

特に、補助金は多くの人が関心を持ち、申請が集中しやすくなります。予算が上限に達すると受付が終了する可能性があるため、早めの申請が肝心です。迅速な対応のポイントは、申請に必要な書類を事前に用意しておくことです。適切な準備とタイミングを意識して、商用EV導入時に賢く補助金を活用しましょう。

今後、補助金公募のタイミングや制度内容の変更も見込まれるため、関心のある事業者は早めの情報収集と計画立案をおすすめします。

CUBE-LINXでは、そういった煩雑な補助金の手続きを、充電設備の施工とセットでトータルサポートさせていただきます。まずはお気軽にご相談ください!